いちのみやフォトウォークにて2つある目玉のうちの一つ。一宮町の酒蔵である「稲花酒造」さんへお邪魔して説明付きの見学に加えて蔵の中を自由に撮影できるというご好意に預かることができました。
蔵の中を見学する際の注意として当日の朝からは納豆を食べることはできません。納豆菌はかなり強い菌であるため日本酒の酵母に勝ってしまい日本酒の質が変わる、最悪腐造となりタンクごと処分する必要があります。
協会酵母は納豆菌に負けないものもありますが、日本酒の蔵では協会酵母ばかりを使うわけではありません。
いちのみや観光局前からタクシーで分乗して「稲花酒造」さんへ到着し、まず目に入ったのは洗浄した瓶のラック。あまり洗浄している場面を見ることはないためなかなか新鮮に映ります。
横に瓶を並べていくものから、縦に積んでいけるものまでいくつかの形が存在します。
横に並べるラックであれば瓶の形が違っても逆さまにできるのはメリット。
しめ縄がかけられ、蔵を守っている木が神聖に見えます。
在庫が山のように積まれており、通い函ばかりでなく、通常のコンテナにも酒が入っているのは印象的。酒屋さん返してという声が聞こえてきそう。
一通りの説明の後には自由に蔵の中を動き回ることができます。
タンクを自由に見ることができるのは嬉しいところです。
もろみから酒を絞る「槽」。ふなしぼりやふなくちという言葉を聞いたことがあるかと思います。この「槽」に甘酒のように濁ったもろみを入れて絞ることで清い酒である「日本酒」が流れ出てくるのです。この形がまるで船の形に見えるため「槽」と呼ばれています。
現在はこの「槽」を使う蔵は時間と手間がかかるために使用する少なくなってきています。
代わりに増えているのが右側のヤブタ式で自動的にもろみを絞ることが出来るために手間と時間が短くなり、時間が短くなることで酒が空気に触れる時間が減り酸化を防ぐことが出来ます。造りが始まる前でビニールシートで保護されていますが天井が低いこともありこの近辺だけはもろみの香りがぷんぷんとします。
両脇に明かりとりの窓が見える位置がなかなか素敵。
こちらは新しいエリア。雰囲気が異なります。
大きな釜を見つけました。酒を蒸すのに使われるそう。
麹を作るための棚やかき混ぜる器具が洗浄されて出番を待ちます。なかなか見る機会がないものをじっくり見ることが出来ました。
米に麹菌がしっかり入るよう、空気に触れるよう。ギザギザに満遍なくならせるような形になっています。
使い込まれたものと新しいもの。いろいろ工夫して加工しているのでしょう。
米を蒸したり麹に使うものでしょうか、わりと目が荒い生地です。
なにか色気を感じてしまう水槽。
書籍やネットでも酒蔵の情報が出ていますが、実際に目で見ないとわからないものもたくさんあり、建物や器具を見ることも大切です。
煙突は日本酒の蔵というよりウイスキーなどの蒸留所を思わせるレンガ造りのもの。周りにはビルがないような土地に目印になる煙突です。
酒蔵の中とは思えない、昭和初期にタイムスリップしたようにも思えてしまう通路。
もう一巡りしてみましょう。
200Vの電源もなにか懐かしいものを感じるもの。
横の階段を登っていくと素敵な光景が。
タンクを眺めることが出来るのです。こんな光景はプロのカメラマンが調整しながらやっと撮れるもの。こんな機会を頂けた女将の好意に感謝しましょう。
そして屋根裏へ行くとヤブタ式のもろみ圧搾機に使われるフィルター部分が干してありました。絶対に見ることが出来ない部分です。この場面をプロが撮影した写真にはゾクゾクするものがありました。
裸電球にブリキの傘なんてまたレトロな。実際にレトロなわけですが心動かされるものばかりあるのが物欲とともに感動しきり。
光と陰のコントラスト。なんて素敵なのでしょう。
この光を使って佐瀬式の「槽」をもう一度。
もちろん蔵で造っている在庫は買うことも出来、なかなか都内などにも流通しないものばかり。
通い函に入っている日本酒が可愛いこと可愛いこと。
その横には瓶詰めの機械が中を見れる状態になっていました。機密ではないもののここまで開けっぴろげに見せてくれるのもそうそうありません。
今回の試飲には普段出さない大吟醸も出して頂けました。
米違いや酵母違い。小さい蔵ながらも新しいことにも挑戦している稲花酒造のラインナップは日本酒好きとしてもいいなと思うものが多くあります。
日本酒を飲む人口も増やすことも考慮して通常は16-17度が多い日本酒の原酒のところを11-12度で造られた日本酒もワインに近い香りがしつつスッとはいって行く飲みやすいもの。
多大な協力もあり、おいしい日本酒と蔵を見学できた今回の稲花酒造さん。次は酒造りがひと段落してから伺うとしましょう。また違うものが見ることが出来るようです。
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