千葉一宮町。そこには明治時代に建築された文化庁(文部科学省の外局)に登録有形文化財として指定された建物が4箇所(9件)あり、「寿屋本家」である旧斎藤家もそのひとつ。鰹節問屋を営んでいた斎藤家は店舗となる蔵と蔵から続く住居、そして土蔵と社を含めて4件もの登録有形文化財とされており、一宮町の登録有形文化財9件のうち4件を占めていることになります。
いちのみやフォトウォークで集合場所ともなった「寿屋本家」。明治から続く歴史を感じながらも、なにか子供時代に見た古い建物を思わせる懐かしい雰囲気があります。
こんな廊下でばあちゃんに怒られたな、とか思い出すような庭と廊下。
ソファなどがあるサンルーム。中世のヨーロッパなどでも見る建物の南側に大きな窓を設けて日差しを受けることが出来る場所も昔ながらの作りでもありますが、作りの古さを感じさせない、100年以上も経つとは思えない見事な建築です。
床の間は茶室にあるものとは異なり、骨太で魅せる部分もありつつも普段に長い間使い続けることが出来る耐久性もある作り。屋敷などの武家にゆかりがある建物と異なり、あまり見ることが出来ない商人の邸宅を見るのも暮らしぶりを伺う貴重な経験です。
板張りの天井も綺麗に保存されています。
なにか田舎のばあちゃんの家に来たようにも錯覚を感じる場所。テレビはともかく、建築から100年以上たつ場所だとは思えないほど綺麗な空間。日本建築は木造であるがため、木が消耗する箇所はありますが優れた技術であるため面倒見ることができればしっかり持つ、そして古さを感じない技術の結晶でもあり、国外の一流建築家でも舌を巻くほどの技術は誇れるものです。
庭に面したガラス戸は明治に作られた「ガラス」がはめられているもの、今では作ることの出来ない貴重なもの。厚さが均一ではなく、ガラスから見える風景が歪んで見えるのがその証拠。
また庭には飛び石や鉢がわりに石臼が使われているのも印象的。今ではなかなかこんな大きな石臼を見つけることは少ないものですが、昔は粉を挽くといったら石臼だったため数はあったのでしょう。
庭へ続く飛び石も普通じゃ考えられないくらい大きな石が使われており、運ぶには大きな労力が必要だったことでしょう。
玄関にあったポット。これ自体は明治にあったものではないでしょうが、ホーローが大きく進化したのが「寿屋本家」が建築された時代である明治時代の技術。鋳物や銅にガラスでコーティングすることで料理に鍋の影響を少なくしたもの。同じような時代を感じることが出来るのは感慨深いものがあります。
「寿屋本家」の通りに面した場所は昼間(11:00〜17:00)は「寿屋本家」としてランチとカフェ営業。夜(18:00〜24:00)は創作料理「ほしみや」としてアルコールも頂くことが出来ます。
なるほどカフェとしても納得、みごとな雰囲気がある店内、木のテープルが素敵でライティングの設計とともに落ち着いた空間が出来上がります。
今回のいちのみやフォトウォークでは昼間の「寿屋本家」にて弁当をいただくことが出来ました。
弁当にはドリンクもついてくるといううれしさ。カフェオレを頂くことにしましょう。
カウンターの裏はまさにに夜仕様。こんな場所でゆっくりと杯を傾けたいものです。
昭和の時代のものでしょうが、うまく雰囲気にマッチしているナプキン入れ。レトロと言われるものですが一周回ってモダンに感じられます。
2階も使うことができ、まるで昔の文豪がいたような雰囲気がある部屋です。旅館ではありませんが、篭ってアイディアをひねりだすのにも落ち着けそう。
懐かしさを感じるちゃぶ台も貴重なもの。
すっと落ち着いた心になりました。
さて、旅へ出ることにしましょう。